CMS: Joomla! によるウェブサイト制作(ホームページ制作)

CMS の利便性と著作権 注目

 2017年06月06日(火)  

これまで何度かこのブログでは「ウェブサイトと著作権」について取り上げてきました。

こうした記事を書いたのは、もちろん何かしらのきっかけがあったからなのですが、このきっかけが生まれる要因を深く考えていきますと、「CMS の利便性」に行き当たります。一昔前なら決してなし得ないその利便性が災いするとは皮肉なものです。

今回のテーマの本質を理解するために、あえて違った角度、事例からまずお話しましょう。

伝記の出版

現在、様々な伝記に該当する本が出版されています。
伝記といえば、エジソンだのナイチンゲールだの、過去の偉人を思い浮かべる方も多いのではないかと想像しますが、現在タイムリーに活躍中の方々の本も数多く出版されています。

実際私なんかも仕事柄、IT界を創り上げている人達には関心がありますから、イーロン・マスクやらジェフ・ベゾス、マーク・ザッカーバーグといったタイトルが付いた本は何冊か読んだりしました。しかしそれらの本では、主人公である当人が書いている自叙伝ではなく、第三者が本人や周辺に取材を行い、構成して書き上げたものです。

いわゆる自伝という体裁のものであっても、必ずしも本人が書いているとは限らない、というのが実情ではないでしょうか。

さて、ここでこの伝記物の話をなぜ持ち出したかといえば、今回のテーマである「著作権」を理解するのに役立つと考えたからです。

伝記物の場合、その本の題材は当然ながらその本の主人公であり、本に含まれる情報の大半は本人からもたらされます(そうでなければ、フィクションということになってしまいます)。

その主人公自身に文才があり時間があれば、本人が書くことが好ましく、それは自叙伝となるわけですが、先に挙げた IT界の人達は自身のビジネスに忙しく書いている暇はありません。そこで取材して書くライターという職業の人達が活躍することとなります。

ここで一旦ウェブサイト制作の話に視点を戻してみますと、この伝記の主人公に当たるのがクライアント様であり、ライターが 4CREATOR JAPAN ということになります。

ライターは主人公にアポを取り、直接取材することもあれば、主人公の秘書から関係資料を受け取ったりすることもあります。また時にはどこかの現場に出かけて行って関係者の話を聞いたり、何らかの現場を見る必要もあるかもしれません。何れにしても「書く材料」を集めなくては仕事は開始できません。

「書く材料」がある程度集まれば、今度は書き出す前に「本の構成」を検討する必要が出てきます。読者にどうすれば主人公の魅力やエピソードが伝わるのかを考えなくては、面白い本にはなり得ず、結果として売れる本にはなりません。書く材料は取材した本人に所在があるわけですが、それを伝えるための創作がそこに加わることとなります。

出版された本は後から修正できる?

原稿が出来上がると、本にするための印刷の工程が入ります。一旦印刷されたならば、後から修正することは一文字と言えども出来ません。もしそれを行うのであれば、印刷済分は破棄することとなり、膨大な費用がかかります。ですから重大な瑕疵レベルでなければ、初版本としてはそのまま出版され、正誤表のようなものが添付され、次の版で修正される、ということになるのではないでしょうか。

ここで、ウェブサイト制作に視点を戻しますと、CMS を使わない従来型の HTMLサイトでは、やはり一文字を修正するだけといっても、場合によって話は大ごとでした。

記事内の1文字であれば、それが書かれたHTMLファイルを探し出し、修正を加え、そのファイルが格納されているサーバーにアップロードするだけで完了となります。本の印刷と比較すれば話は格段に簡単です。

しかし、全ページに渡るような『メニューの中の一文字』を直すとなった場合は、ウェブサイトを構成する全ファイルを修正する必要が出てきます。すると、たった一文字だけの修正であっても、修正個所としては100個所だった、ということもあり得ない話ではないのです。

以前、他のウェブサイト制作会社の方とお話ししていた際、「ウチは一文字の修正を依頼されたら、最低8,000円は請求しますよ」と言っておられてビックリした事があるのですが、それは特殊な例ではありません。他にも友人から「ちょっと文章の修正をお願いしたら1万円以上の請求されたんだけど、おかしいよね?」と相談を受けたこともあります。

しかし、上記に「修正個所としては100個所だった」という事例を見れば、その請求額は決して不当なものではないことがご理解頂けるかと思います。

ところが、CMS の場合はファイルを修正する、という仕組みとは異なります。
メニューの中の一文字を修正する場合、それが情報として格納されたデータベースを1箇所修正すれば、全ページに反映されます。しかもそれはデータベースを意識することのない、ウェブ上の管理コントロールパネルで行えますので、極めて簡単なワケです。ですから、4CREATOR JAPAN の場合ですと、1文字の修正だけで請求をしたことはありません。

本の場合は、1文字の修正に莫大な費用がかかり、CMS の場合であればほぼゼロになる、というコスト面や、その工程における難易度の違いについてはご理解いただけたのではないでしょうか。

自伝の主人公であれば本を修正できるか?

ライターが書いた自伝は、主人公本人が「原稿の段階」で読み、修正ポイントは指摘すれば、ライターはそれを書き直してくれる事でしょう。しかし一旦本として出版した後は、(主人公が前提であるならば)本の中身を変えることはできるでしょうか?

当然ながら紙に印刷された本を修正するということは基本的には出来ません。
しかも本の著作者はその主人公ではないので、そもそも改変をする権利すら保有していない、と考えるのが普通です(ライターが主人公に原稿を事前に見せず、勝手に出版をしたならば話は別ですが・・)。

ところが、ウェブサイトとなると本のような厳格さがありません。
逆にそれがないところがこのメディアの利点であり、インターネットが世に登場してあらゆるものに変化を与えた要因でもあります。

厳格さは確かにないのですが、主人公とライター、そして出版(印刷)という関係の根本は、実は大差ないと言えます。とりわけ著作権という視点で眺めた場合、この本を出版する、という話は大いに参考になると思います。

CMS を利用すれば、(本という形態ではないものの)誰しもが記事を「出版」することが出来ます(CMS の一つ Joomla! では、記事を公開する行為を、出版を意味する「publish」という用語を使っています)。また記事の作者が誰であるかを明確にする仕組みがありますし、更新されたならば、その時刻と更新した人が記録されます。

記事を公開する場合には、必ずそれを書いた著者が存在しますし、ウェブページの場合は、情報を伝わりやすくするためのウェブデザインを施すウェブデザイナーの存在があります。この存在は、本の例で言うところのライターに当たります。

伝記の主人公が勝手に本の記述を直すことが出来ないのと同様に、公開されたページは著作者や制作者に無断で改変することは著作権上出来ません。本であれば、原稿の段階(印刷される前)であれば、修正のリクエストは出せますが、出版された後では事実上修正は効かないのです。

媒体が違うウェブページではありますが、基本的には本のように公開後の記述は変更できない、という心持ちで、事前の確認は入念に行うことは必須だと思います。利便性の高さにあぐらをかいてテキトーな態度で臨めば、閲覧者の信用を失いかねません。

出来るからといってやって良い訳ではない

4CREATOR JAPAN では、クライアント様の「固有の情報」に変更があった場合、直ちにご自身で修正が行えるよう、こちらで制作したページであってもアクセス権限(記事を編集できる権限)を付与しています。

これは、例えば何かの募集期間を公示していて、後日その期限が延長となった場合などには日付情報を直すためへの利便性であり、また、役員が移動となってサイト上で表記している役職名を変更しなくてはならない場合などを想定してこのようにしています。

従来型のウェブサイト制作ビジネスの短期的な観点からは、これは収益を減らすだけですが、クライアント様の利便性を上げる事は、長期的な視点では良い結果を生むものと思いますし、CMS をご利用いただくからには、その利便性を享受して頂きたいと思いますので、こちらで制作したページであっても、改変の余地を残しているわけです。

しかしながら、その意図を理解しない、また著作権を侵害するような利用のされ方に接すると、システム的にアクセス権をコントロールした方が良いのかと悩んでしまいます。

クライアント様の立場は、自伝本でいうところの主人公であるわけなので、(往々にして客観性を持つのは難しく)改変しようとしている箇所が「固有の情報」なのか、ライターが制作したものなのかが、判断がつかないこともあるのかもしれません。
しかしコミュニケーションを正しく行えば、問題は未然に防げるものと思います。

しばらく様子見となりますが、理想の姿を維持できないようであれば、一文字修正するためだけでもご連絡をもらい、こちらで修正を行い、請求をさせていただく、という従来型のウェブサイト制作会社のようなビジネススタイルとなってしまうかもしれません。

しかし「CMS の利便性」を失わない現在の方法を出来るだけ維持したいと思います。現在のクライアント様、そして未来のクライアント様との良好な関係を維持していくために、今回のブログ記事が役立つことを願ってやみません。

 

最終修正日 2017年06月07日(水)
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