CMS: Joomla! によるウェブサイト制作(ホームページ制作)

ウェブサイトと著作者人格権

 2015年02月12日(木)  

突然ですが、クイズです。

○○株式会社は、ウェブサイト制作会社に依頼して、自社のウェブサイトを作ってもらいました。サイト制作費は、支払い済みです。
サイトを公開すると、今までサイト制作事案について部下に任せっきりだった○○会社の部長がサイトを閲覧し、部下にこう言いました:
「キミ、たしか過去にプライベートのウェブサイトは作った経験があると言っていただろう?だから我が社のウェブサイト担当者として、サイト制作の依頼先の選定から発注までキミに任せたんだよな。でも、この色は我が社のイメージに合わんだろう。キミの責任で変えておいてくれよ。ほら、名刺に使われている色があるだろ、アレだよ!」

○○会社のウェブサイト担当者Aさんは、こう思いました。
『色を変えるくらいなら、僕にも出来そうだ。後でサーバーにアクセスして変えておこう。そうすれば、サイト制作会社に追加費用を払わなくて済むだろうし、会社の中での僕の評価も上がるってもんだ!』

果たして、経費を節約しようとしたAさんの考えは正しいでしょうか?

正解は「間違い」です。実行すれば法律に抵触します。

以前書いたブログ記事「ウェブサイトと著作権」でもご紹介しましたが、ウェブサイトは法律上「著作物」に該当します。

支払いを済ませた発注者側の視点では、なかなか理解が難しいようなのですが、お金を支払ったから、自社サイトだから、という理由で何でも自由になるものではないのです。

Aさんが学ばなくてはならないのは「著作者人格権」です。
著作者人格権については、こちらの外部サイト「公益社団法人著作権情報センター」のページに詳しい解説がありますが、大きく3つの権利(公表権氏名表示権同一性保持権)が含まれています。

Aさんは、この同一性保持権を侵害することになると思われます。

Aさんが取るべき行動は、サイト制作会社に連絡し、事情を説明し、先方の了解をとってから行う、ということです。先方が了解していれば問題は起こりませんが、先方の与り知らないところで勝手に行えば、問題に発展する恐れがあります。

なぜならば、Aさんが色を変更してしまえば、ウェブサイト全体のデザイン・イメージが大きく変わってしまう可能性があり、制作者の意図に合致しない可能性が高いからです。また「無断で行う」という行為は、制作者側の怒りを招く大きな要因となります。

現在の著作権が制定された1970年当時では、現在のデジタル化の波は予想されておらず、またこの法律の中身について広く一般に知られていない、という現状、4CREATOR JAPAN にご依頼いただいたクライアント様におかれても「悪気なく権利を侵害する」ということが度々発生します。

特に難しい、理解されにくいのは、4CREATOR JAPAN で採用している CMS という存在です。

CMS を採用する利点は・・。
従来の CMS を使わない方式は、ページ内の文言を少し変更したい場合であっても、サイト制作会社に依頼することが普通です。すると少し文言を修正したいだけなのに時間がかかる上、コストも発生します。

しかし、CMS を使えば、記事の管理ページにアクセスし、エディタを使えば、専門的な知識がなくとも文言に修正を加えたり、または、文言を追加したりすることが依頼者側で行うことが出来ます。これは時間とコストを節約する上で、CMS を使うメリットだと言えます。

ですから、4CREATOR JAPAN では、記事の追加、修正、文言の修正の範囲については、ご希望されるクライアント様には積極的にご利用ください、と促しています。つまりその範疇においては、著作権上こちらでは問題にはしませんよ、という宣言なのです。

ところが CMS は、サイトを構成するすべての要素を、ウェブ上の「管理コントロールパネル」にアクセスすれば行える、というメリットもあります。しかし、この便利さがしばしば誤解を生む要因となっています。

管理コントロールパネルでサイトをコントロールできる、だから依頼者側は、支払いを終えれば何でも自由に設定を変更して良い、と思いがちです。しかしそうではありません。その設定変更は、先ほどの「色を変える」Aさんと同じ行為となる危険性が多分にあります。

ですから、4CREATOR JAPAN では、設定変更をしたい場合は面倒でもこちらに確認をとってくださいね、とご案内させていただいております。これは別の見方をすれば、設定変更によって生じる、色やレイアウトの変更は認めていませんよ、という事です。つまりそこは著作権に抵触しますよ、という事でもあります。

理解が難しいところですが、私なりに説明いたしましょう。

まず「サイト・デザインとは何か?」という点について理解する必要があります。
様々な考え方、法の解釈があると思いますので、ここから先は「私はこう考えています」という説明になります。

私は、サイト・デザインに関しては大きく2つの要素があると考えています。
一つ目は「見た目」です。これが一般的にデザインとして認知されているものだと思います。

色や形、テキストや写真などの様々な素材を組み合わせ構成し、ビジュアル的にまとめ上げる作業はセンスが問われる作業です。第三者に「いいね!」と言ってもらえるようになるのはそう簡単なことではありません。

もう一つのデザイン要素は機能面で、「ユーザビリティー」と言っても良いでしょう。
ウェブサイトは、それを利用する閲覧者に情報を届ける役目を担います。ただ情報を掲載するだけでは駄目で、多くの情報から目的の情報にたどり着けるよう、発見しやすいようにナビゲートしなくてはウェブサイトの価値が半減してしまいます。

Aさんは、ページの一部の色を変更しただけだと考えるかもしれませんが、それにより閲覧者の目線・導線が変わってしまうことがあり得るため、ウェブサイト制作者が「情報を伝える」ためにおこなったデザイン(見た目とユーザビリティー)を損ねる危険性があるのです。

優れたデザイナーは、依頼者の要望に耳を傾けながら、閲覧者の目線がどう動くかを考慮に入れ、色やレイアウトを慎重に決めているはずです。Aさんの無断で色を変えるというのは、そうした制作者の制作意図を無視することであり、それが著作者人格権の「同一性保持権」で定義されている「自分の著作物の内容又は題号を自分の意に反して勝手に改変されない権利」に抵触しているわけです。

これには「レイアウト」も含まれます。
CMS では、管理コントロールパネルで何かを設定を変更すれば、この「レイアウト」が崩れる可能性があり、これも上記の理由から、制作者に無断で行うべきではありません(すべての設定においてレイアウトが崩れないように事前にデザインをしておくことは、時間とコストのバランスからあまり有益ではないと考えます)。

もし、それでは不自由だというのであれば、ゼロから自分自身の手でウェブサイトを作る他ありません。すると、いかに欲しい結果を得るのまでに大変な労力がかかるかを理解できるはずです。

先日テレビを観ていましたら、外国人が水墨画を描いていました。日本の水墨画の師匠に弟子入りし勉強されたそうです。
インタビューで彼の言った一言が、今回テーマにした著作権の本質を表しています。

描いた水墨画を指差しながら・・
「いま私は、この部分を10分で描くことが出来ます。しかし私はここにたどり着くまでに30年間を要しました。ですから、これは10分ではなく30年なのです。」

最終修正日 2015年08月05日(水)
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