W3Techs の調査によりますと、かつては世界第2位のシェアを占めていた Joomla! は2022年9月現在は5位となっています。
一方、世界でも日本でも、WordPress のシェアは圧倒的です。
世界のCMSシェア(トップ5)
開設 | タイプ | マーケットシェア | 全ウェブサイト | ||
---|---|---|---|---|---|
非 CMS | 33.0% | ||||
1 | WordPress | 2003 | Opensource | 64.2% | 43.0% |
2 | Shopify | 2006 | SaaS | 6.20% | 4.10% |
3 | Wix | 2006 | SaaS | 3.40% | 2.30% |
4 | Squarespace | 2004 | SaaS | 3.00% | 2.00% |
5 | Joomla | 2005 | Opensource | 2.50% | 1.60% |
2022年9月現在
サイトの目的に合わせて CMS を選択する
上記表をご覧になった方の中には『シェアが高いものを選べば安心』という判断で、WordPress を選択したくなるかもしれません。実際日本ではこの傾向が顕著に現れており、WordPress のシェアは80%を超える『異常事態』となっています。
なぜ『異常事態』と言えるのか。
それは、貴方のウェブサイトの用途や目的が WordPress に合っているか否かは別問題だからです。
ユニクロはとても多くの方に支持されていますが、もし服を買う目的がキャンプ用であれば、私はユニクロに行って服を探すことはしません。それはユニクロが良いとか悪いとかの問題ではなく、単に専門店を訪れた方が機能性が高く優れたウエアが見つかると考えるからです。ユニクロと比較すれば、高めの価格帯に感じるかもしれませんが、その価格には、耐久性や機能性など専用品ならではの価値が含まれていることがほとんどで満足感につながります。
キャンプ用品として販売されているウエアが、ユニクロを超えるシェアを獲得することはまず考えられませんが、だからと言ってキャンプ向けのウエアがユニクロよりも下であるという判断が間違っていることは誰の目にも明らかなはずです。元来 WordPress はブログツール
世界的に人気の WordPress が世に登場した2000年代前半には、誰もそれを CMS とは呼んでいませんでした。
数あるブログツールのひとつに過ぎず、現在のように CMS と認知されるとは、当時は誰も予想していなかったはずです。少なくとも、私が WordPress を使った2008年前後には、現在のような WordPress の姿ではなく、優れたブログサイト構築ツールという認識でした。
いわばオンライン上の企業パンフレット的な用途のコーポレートサイトにおいては、WordPress を利用することは理に適っており、元々ブログツールなのですから『情報発信のしやすさ』も人気の理由のひとつとなっていることは理解できます。つまり、情報発信を行うことのみがウェブサイトの用途・目的であるならば、WordPress を選択することは正しいといえます。
ところが用途・目的をきちんと考慮せず、半ば無理矢理 WordPress を利用すれば不本意な結果につながります。
見た目に美しく構築されているウェブサイトであっても、少し閲覧を進めていくと目を疑うような仕様のまま公開されているウェブサイトが数多く存在しているのはこれを証明しているようで、WordPress の特徴のひとつとなってしまっている現実があります。
例えば、以下のようなウェブサイトを多々見かけます:
- 『ログイン』をクリックすると、ベーシック認証の画面が立ち上がる( 関連コラム:会員専用メニューを設置する)
- 『お問い合わせ』をクリックすると、URLが別ドメインに変わり、外部サービスに遷移する
- 『会員登録』をクリックすると、URLが別ドメインに変わり、外部サービスに遷移する
- ウェブサイトが、LINE など外部サービスに閲覧者を誘導するランディングページ状態になっている
このような事例をよく目にするのは、WordPress のコアシステムには Joomla! のような「会員管理システム」がないからなのです。
それもそのはず。ブログツールに必要なのはブロガーの管理のみであり、閲覧者を会員として登録する、という想定はないのです。
会員サイト構築に適した Joomla! のコアシステム
Joomla! は、会員サービス構築用CMSといえます。
実際、Joomla! のコアシステムには、WordPress にはない特徴を備えています。世に登場した当初からCMSとして発展してきた Joomla! には、会員サービスを支える「ユーザ管理」のみならず、多言語サイトを構築する仕組みがコアシステムに標準装備されています。
コアシステムに「ユーザ管理」や「多言語」が標準装備されているので、当然ながら外部開発者によるエクステンション(ウェブ機能)はこれらを考慮した設計となります。ウェブサイト内の一部だけに会員システムが適用されるような WordPress のプラグインとは違い、コアシステムにユーザ管理機能があるということは、すべてのエクステンション(ウェブ機能)がユーザ管理に対応するということです。
実際、このコアシステムがあることによって、開発者がまったく異なる2つのエクステンションが連携して機能する、ということも珍しくありませんし、会員IDに紐づいて様々なエクステンションが利用できることは、サイト運営上『事務手数を軽減する』というメリットをもたらしています。
外部サービスを利用するサイトの場合:
会員に提供するWEBサービス毎に異なる外部サービスを利用すると、一元管理ができないばかりか、会員情報をその外部サービスに渡さなければならない、ということも出てくるかもしれません。これは管理コストが増えるだけでなく、会員の情報管理という点においても課題を残しますし、また多くの場合、会員側のユーザビリティーという視点においても好ましくない結果となります。
ログイン時のセキュリティー
Joomla! に「ユーザ管理」が備わっているということは、サイト会員がログインすることがコアシステムとして想定されています。
元々 Joomla! はサイトのセキュリティーについて常に気を配っている CMS ですが、最新の Joomla 4 では「WEB認証」や「2段階認証」を標準搭載し、さらにログイン時の安全度が向上しています。
会員IDに紐づいたサイト運営は一元管理というメリットを生み出します。
会員サイトを構築するなら Joomla!、とぜひ覚えておいて下さい。